Conventional Commitsとcommitlint: コミットメッセージ作成の新たな標準

2025年1月10日金曜日

意外と重要なコミットメッセージ

開発を行うと、1日に何度もコミットメッセージを書くことがあります。コードの変更点をきちんとまとめる必要があると漠然と考えてしまいますが、まとめるのが難しいため曖昧なメッセージを書いてしまうことが多いのが現実です。

実際、コミットメッセージは作業しているその時よりも、後でコードを再確認する時により重要な役割を果たします。自分が作業したけれどとても昔のことで覚えていないコードや、他のチームメンバーが書いたコードをレビューする際、コミットメッセージが大いに役立つのです。

つまり、コミットメッセージをきちんと書くことは、長期的に見ればチームの生産性を高め、デバッグ時に多くの助けとなる一種の保険と言えるでしょう。問題は、コミットメッセージに明確な制約や型がないため、一貫性のある明確なコミットメッセージを書くことが、コンベンションなしで変数を命名しようとするのと同じくらい難しいということです。

Conventional Commits

そんな時、Conventional Commitsを発見しました。コミット規則を見てみると、コードの変更点についてあらかじめ定義されたいくつかのタイプのうち1つを選び、スコープとサブジェクトを記述するという骨子になっています。

とてもシンプルな規則ですが、コミットメッセージをより一貫して書くことができ、標準化できるという利点があります。さらに、Semantic Versioningとも関連付けができるので、生産性の面でも非常に有用だと感じました。

基本ルールは以下の通りです。

基本ルール

  1. 形式: type(scope): subject形式に従います。

    • type: 変更の種類 (例: feat, fix, docs, style, refactor, testなど)。
    • scope (オプション): 変更が適用された範囲。
    • subject: 変更内容を簡潔に説明。
  2. 本文: 必要に応じて変更事項の追加説明を記載できます。

  3. :

feat(auth): ユーザーログイン機能の追加
fix(api): fetchメソッドのヌルポインタ例外を解決
docs: インストール手順をReadMeに追加

上記のルールはSemantic Versioningと以下のように約束されています。

プロジェクトがSemantic Versioningを適用している場合、コミットメッセージだけで自動的にバージョン管理を行うことができます。例えば:

  • feat(auth): ユーザーログイン機能の追加 → 新機能追加 👉 v1.1.0
  • fix(api): ヌルポインタ例外を解決 → バグ修正 👉 v1.1.1
  • feat(payment): クレジットカードサポートの追加 → 新たな機能追加 👉 v1.2.0

まとめると、Conventional Commitsには以下のような利点があります。

  • 一貫性の保持: 一貫したコミットメッセージの記述により、プロジェクトの履歴を簡単に把握できます。
  • 自動化ツールの統合: リリースノート生成、CI/CDパイプライン統合などさまざまな自動化ツールと簡単に連携できます。
  • 効率的なコードレビュー: 変更の意図を素早く理解し、レビューをスムーズに進行できます。
  • 拡張性の向上: プロジェクトが大きくなっても一貫性のあるコミットメッセージにより、メンテナンスが容易になります。

さらにリンターもあります。commitlint

commitlintの主な機能は以下の通りです。

  1. Conventional Commitsの検証: メッセージがtype(scope): subject形式かどうかを確認します。
  2. カスタマイズ可能: チームの要求に応じて規則を追加または修正できます。
  3. CI/CD統合: commitlintをパイプラインに統合し、コミットの検証が可能です。
  4. Huskyとの統合: Gitフックを利用してコミットメッセージを自動でチェックします。

特別な問題がない限り、プロジェクトにcommillintを適用するのは非常に簡単で、多くの利点があります。チームがConventional Commitsの適用に同意したならば、commillintも併せて適用することをお勧めします。具体的な実装方法はcommitlint公式ウェブサイトを参考にしてください。

このようなリンターがなくても個々がコミットメッセージをよく作成できるかもしれませんが、人は様々な理由でミスを犯すことがあります。そして、ミスで作成されたコミットが一つまた一つと追加されると、結局時間が経って何とも言えないものになってしまうのが常です。

さらに、約束したのにコミットメッセージがおかしいとチームメンバーにフィードバックを送るよりは、コミットをブロックしたコンピュータに不満を言う方が協力の面では遥かに効率的だと考えます。

一貫したコミットメッセージ、チームの生産性を高める第一歩

コミットメッセージは単なる変更記録ではなく、プロジェクト履歴を整理し、メンバー間のスムーズな協力を促進する重要なツールです。特に複数の開発者が一緒に作業する場合、一貫したコミットメッセージはコードレビューを容易にし、変更点を素早く把握できるようにします。

個人のレベルでも一定のルールを適用することで、不要な思慮を減らし明確なメッセージが書けるようになり、また、commitlintのようなツールを利用すると、メッセージを自動検証しミスを防ぎ、CI/CDとの連携もスムーズになります。

コミットにも一定のルールを適用して一貫したメッセージを書く小さな習慣をつけてみてはいかがでしょうか?すぐには不便に感じるかもしれませんが、時間が経つほどにチームの生産性を高めるうえで大きな助けとなるでしょう。